増山たづ子の名前は知っていたが、その写真はかつて新聞で数枚見た程度だった。
たまたま、家人が図書館から借りてきた『増山たづ子 徳山村写真全記録』で初めて、この方の写真のすごさ・力を知った。
徳山村が廃村・消滅するまでの全容がそこにあった。レンズの目は写されるひとや風景の側にあった。写真を見て、説明(語り)を読んで、なんども涙腺がゆる。
”住み慣れる”ことの、平凡な安心。逝ってしまった人々とつながっていることの確信。野にある豊富な食べ物。それらがよく分かる。
(影書房 1997年7月1日初版第1刷)