封書に手紙を入れて切手を貼ってポストに投函して返事を待っているなど、このメールの時代にもうほとんど廃れたやり方だが、中国とオーストラリアとアメリカにそんな風にして新年の挨拶を交わしている古い友人がいる。
昨年末(2021年12月14日)、クリスマスに届くようにと、写真を添えて、我が家の様子を伝える新年&クリスマスの挨拶状を出した。いつもなら返信が来るのにそれがいっこうに届かない。年が明けて1月6日、アメリカから赤色のスタンプが押された、出したはずの封書が帰ってきた。スタンプの表示は「この郵便物は、名あて国から返送理由が表示されずに到着しました。 〒219-8799 川崎東郵便局」
また、その封書には、2022年1月6日の日付のある小浜局のスタンプが押された細長いメモ用紙が貼られていて、そこには手書きの赤いボールペンで「返送理由 FromとToの位置が逆の為、返送されたと思われます」と書かれていた。
昨年12月14日に日本を出て、アメリカのどこまで行ったのか知らないが、途中でこれは返送しろとなって、再び飛行機に乗って名田庄まで帰ってきた。3週間の旅である。封書の表を見れば、出した人も届ける相手も100%分かるのに、それが示されている封書での位置が悪いと言って返送されてきた、久しぶりのカルチャーショックだった。
郵便局のホームページには
「【ご注意】
差出人住所氏名と受取人住所氏名の記載の位置を、下図の例と逆に書いたり、あるいは、縦に並べて書いたりすると、郵便物が名あて国から返送され、または配達が遅延する場合があります。」とあり、下記の図が載っている。
今回の返送のことは、この記事を見てそうなのかと納得せざるを得ないが、それにしても、なぜ、というのは残る。宛先は分かるのだからそこに届けてくれれば良いではないか。記載位置が違うと何か困難なことがあるのか。今回の手紙では宛先の名前は中央に大きく書かれていた。ただ、切手と送り元の記載位置が違っていただけである。
「アメリカの郵便事情を知らない無知なアジア人の出した手紙か、送り返してやれ」と、向こうの誰かが判断したのでないか、というのは穿ちすぎた見方か。一種の人種差別であるというのは。中国とオーストラリアにも同じような記入方法で出したが、これらは送り返されてこなかった。
今度は相手の方に、2021年12月14日付の同じ挨拶状を入れて「宛先の書式が間違っていて送り返されてきました。それで今頃新年の御挨拶です。しかし、驚きました」と手紙を添えて出した。なんと書かれた返事が来るか、楽しみでもある。