2016年6月10日、山岳会のMさん、Tさんと4年前の2012年6月に開通なった荒島岳の下山コースを登った。
JR越美線の下山駅の駐車場に車を置く。ちかくにジャガイモ畑があり、周りに何の柵もないのでMさんが「早川さん、ここは猿がこないようだね」と言われたので、本当だ、うらやましいと思ったが、地元の人に聞いたらそんなことはなかった。さんざんな目に遭っていることを知った。
午前7時、「荒島岳登山口」の看板をみて集落裏の杉林に入る。しばらくなだらかな道、それもよく使われていたようでかなりへこんだ道である。杉林が終わり傾斜が急になってくる。
「この先滑落注意」の看板は下山者用に書かれたものである。その看板の取り付け方、木に巻き付けて絞めてある金属のベルトには柔らかい植物繊維が保護として木と金属ベルトの間に挟んである。とりつけた人の思いがよく分かる。その優しさがよく分かる。ブナ林に入り、ときどき立ち止まって写真を撮る。
「ここから頂上まで3.3km」の案内板。ここまで50分かかった。この先、非常な急登が待っていた。見上げると立ち上がった尾根が見える。あれを超えていくのか!
この尾根は岩稜のようでところどころ巨大な岩がでてきてそこにステンレスのチェエンが設置してある。太いロープもべた張り状態で続いている。真っ白い脱色したようなギンレイソウをよく見た。「あと2km」の案内板9時35分。
やっと頂上に延びている尾根と出会う。9時50分。ここからは緩やかな登りである。しかし、頂上まで長かった。
右手に雲の間から白山がのぞいた。あがってくる雲ですぐに隠れる。登山道には初夏の花のコバイケイソウ。
頂上のお宮が見えるところまで来た。登山者が見える。左手に見える三角錐の山は屏風山(1354m)。岐阜県との県境稜線上にある。
今から40年近く前、福井山岳会では福井県の県境をすべて歩く事業を行っていた。福井県境縦走である。昭和54年10月28日の御嶽山噴火の時、あの屏風山の山頂にわれわれはいた。御岳のてっぺんから”しろいもの”が上がるのを見て、雲にしては変だと話していたが、下山してから御岳が噴火したのを知った。
荒島岳山頂到着11時20分。4時間20分かかった。5,6人の登山者に会う。山頂で記念撮影。久しぶりの山頂である。かつてあった無粋なコンクリートの建物も電波の反射板もなにもなく、その代わりというべきか、色鮮やかな、これも無粋といってよい方位版が設置してあった。
12時頃まで休んで下山開始。同じ道をたどって降りた。下に付いたのは3時20分。のんびりとした下山である。厳しくも充実した山行であった。達成感に満たされて帰宅した。
(これは根曲がり竹の花)