名田庄原子力基礎教室311の会報告(2015年11月16日)


  20151116()に第35回「311の会」を開催した。いろいろ事情があり3ヶ月の間をおいての会合だった。参加者は7名であった(現在会員は9) 

 最初に20151016日に放映されたNHK名古屋放送局の番組ナビゲーション「調査報告高浜原発“再稼働”」の録画を見た。再稼働に関して高浜町が行ったビデオ番組による住民説明会のやり方と、その後の髙浜町民へのインタビューからなる番組であった。

 ビデオによる説明会とは、各家庭にあるテレビで、町が作成した再稼働の安全性に関する番組を見るというやり方である。これは、住民が一同に会して大きな会場で説明-質問というやり方で説明会を開催すると、一部の人の質問・意見だけに時間が取られ、広く質問を受け付けられなくなり、説明会にならないという町の判断からとられた方法であった。ビデオの番組なら何度でも流されじっくり見ることができるということでもあった。

 それなら質問はどうするのか。それは質問用紙に質問を書き込んで町に送ると回答が来るというふうになっていた。 

 以下は311の会の時に話されたこと:

 番組では、質問した人が登場して自分の行った質問に回答のないのがあったと言っていた。説明用のビデオでした事項意外については回答しないというのが町の姿勢のようであったが、これでは信頼が得られない。どのようなことにも誠意を持って回答することで始めて信頼が得られる、そのことを町は理解していないのでないか。

 再稼働そのものに関しては、賛成の人が6割を超えていたが、十分な説明がなされていないという人の割合も5割ほどあった。これが現地の実情でないか。再稼働による経済効果を期待するけれど、安全性も十分確保されていることを納得したい、ということでないか。

 

 後半の話し合い:

おおい町の「おおい町 住民避難マニュアル(原子力災害)」は下記の目次からなる、主に図と表とからなる22ページのパンフレットである。 

 目次

 はじめに

マニュアルの活用方法・・・‥2

    ①避難が必要な地域か確認する。・・・・・2

  ②迅速な避難を考える。‥‥2

放射線の基礎知識……3

日常生活と放射線‥‥4

原子力災害が発生すると…・5

被ばくを避けるためには……5

避難対象地域は……・6

 大飯発電所での緊急事態発生時、大島地区(PAZ)における避難の流れ………7

大飯発電所での緊急事態発生時、本郷地区(UPZ)における避難の流れ…  9

大飯発電所での緊急事態発生時、佐分利地区(UPZ)における避難の流れ・・・11

大飯発電所での緊急事態発生時、名田庄地区(UPZ)における避難の流れ・・・13

屋内退避の指示が出たとき・・・・15

避難、一時移転の指示が出たとき‥16

県内避難、県外避難……17

安定ヨウ素剤の備蓄及び配布‥…18

スクリーニング(汚染検査)及び除染…18

各地区の県内避難先となる避難施設…19

各地区の県外避難先となる避難

 

 おおい町には4つの公民館があるので、町の説明会はこのパンフレットに沿って公民館毎に行われた。夜7時半から9時までの予定であった。名田庄公民館(愛称「ぶらっと」)には20余名の人が集まった。説明会に参加した311の会の会員が説明会のことを思い出しながら、311の会で意見を交わした。 

 311の会での意見:

  1. 説明はパンフレットに沿って行われたので、「放射線の基礎知識」、「日常生活と放射線」、「原子力災害が発生すると」、「被ばくを避けるためには」等、基礎的なことも説明があった。このようなことを一回聞いて何が理解できるのか。肝心なのは事故の時いかにして逃げるのかであって、その説明だけあればそれで十分である。終わりの時間が決まっているので、質問時間を減らすための“時間取りである”という印象であった。
  2. 避難方法は、放射線レベルに応じて、最初は屋内退避、次に一時移転、最後に即時避難となっているが、いったん事故が起こったという告知放送があればだれも屋内待避などしないのでないか。
  3. 福島の事故以降では、屋内退避でおさまるような事故は起こらないのでないか。事故があるとすれば直ちに避難しなければならないような、想定していない事故ではないだろうか。
  4. 避難方法は基本的には自家用車で逃げることになっている。しかし、逃げる前に安定ヨウ素剤を受け取り必要ならそれを服用しなければならない。この安定ヨウ素剤配布場所が「ぶらっと」である。名田庄の場合、関西方面に南下して逃げることになっているが、「ぶらっと」より奥の集落の人はいったん「ぶらっと」に戻り、そこから再び関西方面に南下することなる。混乱は避けられないのでないか。
  5. スクリーニング(汚染検査)がなされるのは、京都府との県境にある「名田庄道の駅」だが、汚染検査は町が行うのでなく、県あるいは国が行うという説明であった。いち早く逃げなければならないのに、汚染検査担当者が来るまで待っていなければならない。
  6. 汚染検査をせずに逃げる道は何本かあるが、未検査で関西の避難施設に行けば、追い返されるのでないか。
  7. もし、スクリーニングで汚染が見つかれば除染をしなければならないが、それだけの準備はされているのか。
  8. 検査を受けても受けなくても、いずれも避難受け入れ施設、あるいは施設も持つ地域の人々から差別を受けるのでないか。現に福島がそうであった。
  9. 避難マニュアルは現段階では非現実的で改正されていかなければならない。このマニュアル通りにスムースに避難がなされるとは思えない。
  10. 避難マニュアルは改正に改正を重ね、最後に紙一枚の「素早く逃げなさい」だけになる。これが最上である。(冗談だがみんなうなずいていた)


Author

早川 博信

早川 博信

 

一念発起のホームページ開設です。なぜか、プロフィールにその詳細があります。カテゴリは様々ですが、楽しんでもらえればハッピーです。


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