2014年9月14日(日)晴れ
午前4時、福井北ICの駐車場にK氏、M女史、Hの3人が集合。まだ日は昇っていない。K氏の車で富山に向かう。途中小矢部SPで朝食をとりに入ると同じ山岳会のK女史が仲間(別の会の人たち)といた。そちらは日帰りらしい。五箇山の近くの山に行くという。みんな活発である。
立山ICで下りて有峰林道に入る。有料道路の料金は往復で1900円だった。折立に7時過ぎに付いた。着いてビックリ。あふれんばかりの車である。通常の駐車場は全くスペースがない。「奥に臨時駐車場」の案内板があるので、ゆっくりと進む。道の片側に駐車した車が延々と続く。やっと止めるところを見つけ身支度をして出発。登山口まで歩いて5分ほどかかった。
折立からはだらだらとした上り。太郎平小屋まで5時間とガイドブックの地図にある。もう何十年も前に来たことがあるのだが、良く覚えていない。有峰湖を右に見ながら4時間足らずで太郎平小屋に着く。
大勢の登山客がいる。来る前は連日8時間以上の歩き(計画でそうなっていた)は大丈夫だろうかとずいぶん心配していたが、それほど辛くはなく到着できてほっとする。昼食。2300mの太郎平小屋はさすが寒い。防寒具を着て昼飯を食べる。
小屋を出ると道はすぐ二股になっていて、右黒部五郎岳、左薬師沢とある。薬師沢に向けて下る。標高差数100mくらいか。どんどん下がって薬師沢に沿って歩くことになる。
登ってくる人たちにときどき会う。追い越した人もいた。われわれも十分年寄りだが、それより年配の方で一人で来ている人がいて、心配と同時にたいしたものだと感心した。
水平道の木道(カベッケヶ原)からしばらく行くと急に下がって薬師沢小屋に着いた。
2時過ぎだった。沢のすぐ近くにしがみつくようにして小屋は建っている。1泊2食で9200円。連休初日だがそれほど混んでいない。予約してあったので3人に一部屋が与えられる。ゆっくりできそうである。夕飯まで時間があるので、小屋の前のテラスで沢の音を聞きながら3人で飲む。ここは赤木沢に入る基地とも言えるところなので、明日入るという人たちにK氏がかつての自分の経験を話していた。5時半からの夕飯を済ませてたいしてすることもないので7時前には床についた。これが山小屋でのいいことのひとつである。食べて寝て歩いて。いたって健康である。
2014年9月15日(月)晴れ
5時半の朝食。6時過ぎに小屋を出る。薬師沢のすぐそばに建っている小屋から向こう岸に渡らなければならない。足下の開いた鉄の吊り橋を恐る恐る渡り、今度は、すぐ、鉄のはしごを二つほど下りて、沢のレベルになる。薬師沢沿いに行くと、たちまち急登。朝早いのに下りてくる人たちがけっこういる。この上りを下りるのは辛いだろうと思う。途中会った人から、「この下りでは年に一人滑って骨折をする」と聞いた。
何時終わるのかと思っていた上りも、2時間ほどで木道の末端について平坦になった。それほど疲れていない。心配したほどでない。ここから“雲ノ平”が始まる。最初がアラスカ庭園。ハイマツの中に木道が続いている。明日行く黒部頃岳も見える。周り360度が山、水晶岳、三俣蓮華岳、笠ヶ岳。木道を行く。
雲ノ平山荘あたりが一番の見所なのに、昔のような感動は全くない。景色も変わっている。こんなにハイマツがあったのだろかと思うほどのハイマツである。50年前に初めて来たときは、ここは天国か!と思ったほどだったのに。スイス庭園、日本庭園と通過したが同じような印象は変わらなかった。
祖父岳(じい)の上り口で休憩していたら、下りてきた若い人が「頂上の眺めはすばらしい、是非行ってきてください、敬老の日に祖父岳を」という。もちろんわれわれを敬老の日の対象者と判断していたのでないだろうが、3人とも止めておくかとなって、頂上を迂回するルートを取って黒部の源流に下りる。下りるのに30分かかった。同じほどの高低差を上り返して三俣山荘。11時頃だった。お昼にする。
(左;黒部源流に下りる。 右;鞍部に三俣山荘が見える。上り返して小屋へ)
三俣蓮華岳を上り、黒部五郎小屋を目指す。三俣蓮華岳を巻くルートもあるのだが、せっかく来たのだからと頂上経由にする。頂上にはなぜか古いものも含めて3個の三角点があった。どれも倒れそうである。
歩いている稜線から見える黒部五郎岳のカールがとてもすばらしい。
(右;後は鷲羽岳。 左;黒部五郎岳)
小屋には3時前には着いた。ここは1泊2食で9500円。消費税が上がるまでは90000円だった山小屋も便乗値上げみたいになってずいぶん高くなった。350ccの缶ビール800円。買って飲む。外は寒いので、持ってきた焼酎も加わって、中で飲んだ。5時半から夕食。6時半には寝た。
2014年9月16日(火)曇り
5時朝食、5時半出発。黒部五郎岳のカールのルートを取って頂上へ。カールの中を歩くのは初めてである。圧倒的な岩の圧力。鍋底のような地形の上部稜線部から大きな岩が下に向けて下りて来そうである。
2時間で頂上に着いた。われわれが頂上にいる間だけガスが切れた。雲海の上に笠ヶ岳や薬師岳があった。
(左上下;笠ヶ岳、右下;薬師岳)
後はひたすら下りるだけ。少しの上り返しを繰り返し、太郎平小屋に12時着いた。一周した。途中雷鳥の家族を見た。池塘も見た。3日目でやっと山に来て良かったと心から思えた。心配していた身体は何ともなかった。太郎平小屋からはただひたすら下るだけ。2時間半ほどで折立に着く。駐車場はがらがらだった。
鯖江から高速に乗り名田庄に着いたのは10時前だった。