2013年7月29日;311の会 公開学習会(報告)
「福島原発事故はなぜ起こったのか、今、現場はどうなっているのか」
以下の報告は、聞いた方が理解できた範囲で書いているので、講師の先生の話を誤解している可能性、なきにしもあらずです。
参加者は13名。講師の近畿大学原子力研究所の杉山さん作成の資料に従って説明を聞く。
難しいかも知れないが正確なことを伝えたいが、最初の出だしであった。
シビア・アクシデント・マネジメント(過酷事故対策)。
さまざまな機器や系統を増設していくことでなく、充実した人的資源こそが肝心である。
前者は、過酷事故の時にうまく働くかどうか、あらかじめ100%確認しておくことは無理である。たとえば、ディーゼル発電機は運転のテストはするが、実際に負荷をかけて機器や設備がうまく動作するかどうかまで、訓練ではやらない。後者こそ大切である。100人いたら100人の智恵を吸い上げることができるような体制、およびそのような知恵を出す人材の育成と投入。
燃えやすいウラン(ウラン235)、燃えにくいウラン(ウラン238)。
この、燃えやすい、あるいは燃えにくい、はウソです。燃える、燃えないは化学反応。酸素と結合して炎を上げて、うんうん。ここで、燃えやすいとは、正しくは核分裂しやすい、燃えにくいとは、正しくは核分裂しにくい、の意味なので、いまだにこのようなことが書いてあるパンフレットは間違いである。
海外の原子力に関する事故の例。
2001年に台湾で電源喪失事故があった(原子炉停止中)。馬鞍山発電所。
東日本大震災では北は東通(1,100MW)から女川(1号機から3号機)、福島第1(1号機から6号機)、福島第2(1号機から4号機)、東海第2まで、15機の原子力発電所がすべて緊急停止した。女川では本震後、外部電源母線5本のうち4本が遮断され、残った1本で原子炉を冷却した。
以下、津波の破壊力の恐ろしさや、沸騰型軽水炉の冷却方法など基本的なことに関して説明があり、それらが地震と津波でどのように機能不能に陥ったか説明があった。水素爆発はどのようにして起こったのかも示された。
現在の汚染水の状況については、あのような仮置き場のようなタンク群では、ひとたび大きな地震が起これば、そこで働いている人たちは間違いなく死に到る。
原子炉格納容器内の詳細な調査ができないのは、放射線量が高いことに加えて、温度が高いことがある。後者はあまり報道されないが、とても人が入られるような温度ではない。
(時間が来たので、資料の半分ほどの説明で終了となった)
今後のことを思うと、とても気が重くなる話でした。
参加者の感想を少し。
終息に、私たちが見届けることができないくらい長い時間がかかること、その明快な解決策がないこと、聞くほどに本当に大変な事が今も続いているんだと改めて思います。