我が福井山岳会には月一回の例会山行がある。年間計画でその担当者も決まっていてHは10月になっていた。会長のM永さんが心臓血管の2度目の拡張手術から無事現役復帰となり、その快気祝いの山行にしようと山を決めた。皆が楽しく行けるところ、それほど厳しくないところ、しかし、すこしはその気にならないと行けないところもあるコースをと。それで夜叉ヶ池+三周ヶ岳となった。夜叉ヶ池(1099m)までは普通に行けるがその先の三周ヶ岳(1292m、一等三角点)までは藪漕ぎを強いられるのである。
今庄の「そば道場」集合8時だったが、それまでに皆が集まり始め8時前には全員がそろった。M永さん、T田さん、M田さん、Y原さん、M村さん、T田さん、S木さん、それにH。このほか沢組として、K尾さん、O橋さん、Hチさんがいるが彼らとは三周ヶ岳の頂上で合流しようと言ってあった。心配していた雨もなんとか降らずにすんでこのあとに晴れて来そうな様子である。
「そば道場」から各自の車で進み、広野ダムのスペースのあるところに止めて、ここからは相乗りで夜叉ヶ池の登山口に向かう。20分ほどで着いた。駐車場には沢組のK車がすでに止まっていた。10月も下旬なのだから沢は寒いと思うが好きな人にはそんなことはないのか。
8時半に登山口を出る。歩き始めて10分ほどは比較的急な登りがあり、やがて落ち着き、平坦になり、見慣れた風景が現れる。30分足らずで夜叉ヶ滝が左手に、そしてすぐに、いつも休憩する地点、カツラの巨木のところに着く。第一回目の休憩を取る。歩き始めると15分ほどで左手にトチノキの大木。何度も見ているのにみんなやはり写真を撮る。
(夜叉ヶ滝、水量は普通か)
(カツラの巨木のある、第一回目の休憩地点)
歩き始めて1時間ほど経過、ブナ林になり根が露出している坂道を登る。
(2回目の休憩)
「池まで500m」の看板が少し朽ち始めた太い木に打ち付けてあり、ここから15分ほどで池に着いた。下から2時間ほどかかった。86歳の会長は「少々心肺機能に衰えが見えます」などと言って皆と同じように池に到着であった。全くすごい、としか言いようがない。
池の周りは岐阜県側から登ってきた人たち(XX山岳会の会員ということだった)で大混雑状態である。なんとか座るところを見つけて座る。池はガスが徐々に晴れて向こう岸まで見通せた。ここで記念撮影。
会長とT田、M村はそれぞれ諸般の事情がありここから下りることになった。残りのM田、Y原、T田、S木、およびHが三周ヶ岳を目指して藪漕ぎの尾根を行くことになった。
池発11時10分。Hはもうかなり前一人で三周ヶ岳まで行ったことがあり藪はそれほどでなかった記憶があるが、「それは昔のことですよ、今はもうひどいひどい」と数人のから言われ、その気で行かないとダメだと心を決めて出発する。
しかし。結論から言えば、「それほど」でもなかったのである。確かに笹は背丈ほどあり、懸命にかき分けなければならないが足下にはしっかりした道が残っているのでそれさえ見失なければあとは体力勝負なのだ。数十年前の県境縦走であちこち歩いたときは「どこにいるのか」「どちらに行ったら良いのか」分からないような藪漕ぎだったのである。それと比べればいまはGPSもあるし、この程度ならと年寄りはすぐに自慢する。
藪を漕いでいる最中、少しだけ前方の尾根の上に人影を認める。K尾、O橋、Hチの沢組の三人だった。標高1230mくらいの地点で合流できた。12時5分だった。山の中で仲間と会うほど嬉しいことはない。向こうは、12時に頂上で会おうとあらかじめ聞いていたので飯も食わずに頑張ったと言う。
(沢のトレースはK尾さんのGPSデータを参考にした)
(先に三周ヶ岳の頂上)
出会ってから30分以上歩いて12時40分に三周ヶ岳に着いた。
遅い昼食をとる。13時15分。下山開始。藪の下りは気をつけないと道を見失いかねない。写真を撮っていたのと少々くたびれたのとで最後尾になった。時々心配になり「待って!」と叫んだ。登りの時の自信はどこへやらである。小さい岩峰の下りでは少々緊張したし、なんとか下りられたという感じだった。まったく!
夜叉ヶ池に14時15分に帰り着く。もう誰もいない。
(出発する頃は池の周りは人であふれていた)
(ムラサキシキブ)
14時40分下山開始。下の駐車場に着いたときは4時だった。今庄365スキー場の風呂に入り帰宅した。紅葉にはまだ早い10月例会山行だった。