伝統行事の「松上げ」が8月19日(土)にあった。
松上げは愛宕神社の火祭りで、大型のロート状の入れ物をカヤで作り(モジと呼んでいる)、それを地上20メート近くの高さにして立て、松の木から油がたっぷりの部分を切り取って直径4,5センチ長さ10数センチの「松の芯(マツノジン)」つくり、それに火を付けて、下からモジに投げ入れる行事である。
子どもの頃は8月24日と決まっていたが、そして子供用の「松上げ」」は9月1日だったが、24日は平日になることがほとんどで、「松上げ」の準備に大人が半日もかけてやらなければならないことから、もう何年も前から24日に近い土曜日となった。子どもだけの松上げはほとんど子どもがいなくなりなくなった。
準備1;
子ども達が集落を回ってワラを集める。今年は小学生中学生合わせて3人だけ。モジ用のカヤは前年あるいはそれ以上前から蓄えてあるものを使用する。以前は各家で作っていた「松の芯」(マツノジン)も午前中に集会場に班長や子供会の役員が集まって作るようになった。
準備2;
20メートル近くの高さにするには一本の木では無理なので、太い筒状の中にもう一本、紐を引くことでせり上がっていく溝を彫った四角の柱を入れ、その先端に神木(シンギ)を付けて、さらにその先にモジを固定する。これらは集会場に保存してあるので、ユニックで松上げの会場になる南川の河原まで運ぶ。
準備3;
太い孟宗竹を4等分して竹の帯を作りそれを円筒形に縛る。直径は1.5メートルくらい。カヤを7,8本束ねたのを円周に沿って順に組んでロート状のモジを作る。そこに大きく縛ったワラを押し込む。モジをシンギに縛り、中央に竹に挟んだ御幣を付けて全体を立ち上げる。この作業は今ではユニックでやっているが、30年ほど前(あるいはもっと前だったか)は、全て人力でやっていたので、緊張を強いられる困難な作業だった。
(順にカヤを組んでいる)
上げる前;
準備完了後、愛宕さんを祭るということから、カヤの束に火を付けて河原の、少し遠くのところに火を置きに行く。これで準備完了。マツノジンは暗くなってから投げ上げられるので、それまでしばらく御神酒を頂く。
松上げ:
マツノジンを振り回し、十分火が回るようにしてモジに向かって投げ上げる。まあ言ってみればハンマー投げの縦バージョーンといったところか。真下から投げ上げるとなかなかモジには入らない。それですこし離れたところから投げ上げることになるが、手を放すタイミングを間違えると後ろに飛んだり、低い確度で前に飛んでいったりする。
一番初めに入れた人が「イチノマツ」。入ると太鼓と鉦がドンチャン、ドンチャンと鳴らされる。今年は「ニノマツ」まであった。
フィナーレ:
モジが赤々と燃え、真っ暗の中、中のワラとカヤが燃えて一気に落下するときが松上げのフィナーレである。見物客から感嘆の声が挙がる。いつまでも同じことをしているがいつ見てもきれいである。夏の大きな行事が終わった。